不動産の生前贈与
そもそも、生前贈与は相続と何が違うのでしょうか。 大きな違いは、やはり贈与者の意思が確実に反映されるという点です。相続の場合、たとえ遺言を遺していたとしても、相続人のうち誰かが遺言の内容に異議を申し立てることで、遺言通りに相続が行われない場合があるからです。
また、不動産を所有している場合、生前贈与をすることで税負担が軽減される場合があります。将来的に価値が上がると見込まれる不動産がある場合です。 不動産を贈与する場合、その不動産の価値は贈与する時点での価値となります。つまり、5年後10年後に価値が上がることが予想されている場合には、早めに贈与をしておいたほうが得ということになるのです。 更に、その不動産でマンション経営などを行い収益を得ている場合、早めに贈与を行うことで家賃収入を相続人に移すことが可能となります。後々相続税を支払うための準備資金として、ここから発生する毎月の現金収入の活用が期待できるため、一石二鳥ではないでしょうか。
不動産を生前贈与する際には、相続時精算課税制度の活用を検討しましょう。
相続時精算課税制度とは
- 贈与者は贈与をする年の1月1日において60歳以上である
- 受贈者は20歳以上の子または孫などである
という条件を満たす場合に、贈与の翌年2月1日から3月15日の間に必要書類を添付した贈与税の申告書を提出することで受けられる制度です。
この制度を利用すると、なんと2,500万円までの贈与を非課税とすることが出来るのです。
(※2,500万円を超える贈与金額に対しては、20%の贈与税が課せられます)
なお、不動産を生前贈与する場合には当該不動産の名義変更にかかる「登録免許税」と「不動産取得税」が必要になります。
- 登録免許税:固定資産税評価額の2%、法務局へ必要書類を提出時に支払
- 不動産取得税:固定資産税評価額の3%、登記後約半年後に納税通知書が届く
登録免許税に関しては、贈与者・受贈者どちらが支払っても問題ありません。
たとえ贈与税が非課税だとしても、こちらの費用は別途必要になることに気を付けましょう。